工学研究科長挨拶

 これまで、国内航空機産業は 国産旅客機 MSJ の開発および 787の量産、777Xの開発、生産準備等に代表されるプログラム、さらに中部地区では、愛知県・名古屋市および経済産業省中部経済産業局等が「アジア No.1 航空宇宙産業クラスター形成特区」プログラムを推進し、産業界の発展を支援しています。
 こうした中、突然の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生・パンデミックにより、産業界は、甚大な影響を受けています。しかし、将来にわたって、航空機が社会の発展や国際協調に重要な役割をもつことには変わりないでしょう。

 航空宇宙産業では、その性格上、マーケット、技術開発およびプロダクトサポート等いずれの分野においても国際連携活動がビジネスの中心的役割を担っており、技術開発知識および英語コミュニケ―ション能力を併せもつ中堅人材の活躍が、事業発展の鍵となっています。


 世界の航空機開発会社では、最新航空機技術開発とともに、IT技術、IoT技術などを駆使し、プログラム全体のライフサイクルを極めて効率的・有効的に推進し事業収益に結びつけています。
 これら世界の頂点に位置する会社との国際共同開発プロジェクトに参画するためには、個々の航空機技術・製品開発で競争力を示すことは当然としても、国際的に共通する開発プロセスを理解したプロジェクト管理能力とビジネス英語能力を有した上で、プロフェッショナルなコミュニケーションを持つことが必須条件となってきていると言えます。

 こうした動きに対応して、本学は従前の講座を発展的に解消し、平成25年度より 「航空開発グローバルプロジェクトリーダー養成講座」 を立ち上げ、さらに令和3年度からは、本学も参加する、あいち・なごやエアロスペースコンソーシアムの人材育成事業の一環として実施します。 同時に航空宇宙工学専攻大学院科目として、「航空機国際開発プロジェクト演習」を開講し、社会人‐学生混成教育を継続しています。
 
講座内容は、本ホームページで詳細にお示ししていますのでご参考にしていただき、多くの企業の方々の積極的なご参加をお待ちしております。


名古屋大学大学院工学研究科長 宮﨑 誠一

 

三菱航空機(株)提供


平成29年度 航空機開発グローバルプロジェクトリーダー養成講座の概要

 本講座は平成26年度下期以降、文部科学省「高度人材養成のための社会人学び直しプログラム」の委託事業として展開され平成27年度5月中旬から開講しています。
 グローバルな航空機開発事業や高度プログラム管理を必要とする企業の主に中核構成員を対象に高度人材であるグローバルプロジェクトリーダーとしての即戦力を養成することを目的としています。平成29年度以降は名古屋大学が独立してこのプログラムの運営を行っています。令和3年度は、愛知県・名古屋市をはじめとした地域の行政・支援機関および大学で構成する「あいち・なごやエアロスペースコンソーシアム」における人材育成事業の一環として、同コンソーシアムと名古屋大学の共催で本講座を実施します。

講座の目標

 本講座では、航空機(装備品等を含む)の開発は、システムズ・エンジニアリング(SE)をベースとするものであると捉え、航空機業界における規定に基づく検証や認証プロセス、安全性管理、プロセス管理、および関係する運航や整備等との在り方等、体系的な見識と技術課題を理解し、グローバルに海外の関連企業関係者と対等に渡り合えるための能力を養成することを目標とします。

背景

 今後20年間の航空輸送量およびジェット旅客機需要は増加の一途をたどるとした産業界の需要予測と、それに伴う航空機産業の雇用増加を見据え、中部地域は国際戦略総合特別区域「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」に指定され、当プログラムにおいては高度人材育成の活動を続けております。
 これまで当講座では、需要増加に伴う雇用者を指揮・指導するグローバルな対応能力や、高度な航空機開発プログラムの管理能力を有する技術リーダーの育成することを目的として取り組んできており、この方針は、「コロナ禍」でも維持していくことが必要だと考えています。
 一方で、社会システムはすでに、“単にモノが価値を生み出す時代”から、“モノ同士、モノと人とのつながりが価値を生み出す時代”に変化しており、航空機と同様、他の移動手段の自動車、船舶等も、積極的に“つながる”機能が組込まれ、より複雑かつ高度なシステムを構築し始めています。航空機システムは、システムズエンジニアリングで捉える高度で複雑なシステムであり、リーダーには、これまで以上に、より広い視野でシステムの管理能力も求められています。
 今後とも、こうしたダイナミックな市場変化に対応すべく企業要請に則した課題を反映可能な高度な大学院教育プログラムが求められています。

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講座の構成

 講座内容の基本的構成は次の2項目です。

  • ■ 航空機開発技術・航空機プロジェクト管理手法
  • ■ ビジネス英会話と演習
  • ■ この構成はそれぞれ独立したものではなく相互に関連して、「交渉英語/発表」において最終的に習得内容を統合する編成としています。

航空機開発技術航空機プロジェクト管理手法/実用英会話と演習(交渉英語)


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講師

航空機開発技術・航空機プロジェクト管理手法の講師は企業勤務経験のある名古屋大学教員または、企業から派遣の実務家教員です。
また、ネイティブ講師やバイリンガル講師、及び企業経験ある教員等により実用英会話と演習を行います。


三菱航空機(株)提供


授業科目

 昨今の航空機開発で課題が多い分野から優先度の高い講義内容を選択しています。

■航空機開発技術・航空機プロジェクト管理手法
1.最新航空マーケットおよび航空機開発概要 エアライン経営環境の基本である航空旅客マーケットの最新動向についてコロナの影響含め概観し、また航空機開発におけるイノベーション導入の過去の経緯や今後の展望などから、開発戦略のあり方について考察する
2.航空機開発の特質/ビジネス規模と航空機の特徴 航空機開発の特質やビジネス規模を知ることでリーダーが直面する問題の背景や他分野との連携に対する認識を得る。
3.航空機認証に関するRegulation とガイドライン 航空機運航に先立ち必要な型式証明や事業場認定、耐空証明とそれらを規定する規則やガイドラインの体系を修得
4.航空機開発と製造における品質管理 航空機開発・製造の品質管理業界規格JIS Q 9100や航空法等関連法規の体系と要求される品質管理の概要を修得
5.商品企画と開発の流れ 国際的な航空機開発の流れを修得しそれぞれのフェーズで実施する作業内容を把握
6.IT活用の製造技術と課題 ITを活用した航空機製造に纏わる技術の特異性と関連する企業の管理に必要な課題を認識
7.航空機開発手法の傾向と開発の管理 航空機開発手法の傾向やマネージ手法を修得
8.装備艤装の安全設計 装備機器が安全に機能するために必要な設計検討を修得
9.運航と整備 運航や整備がどのように行われているか機体開発ではどんな考慮が必要かを習得
10.航法システムと航空管制技術 航法管制に必要な航空機装備と機能を理解
11.SEと航空機のソフト開発 システムズエンジニアリング(SE)の考え方を理解し、装備品の組込みソフト開発、検証プロセス、安全性に関わる規制、アプローチと課題を把握する
■実用英会話と演習
12.Cross Culture Communication 異文化交流で知っておくと役に立つ知識を習得
13.Presentations 効果的なプレゼンテーションの仕方を体得
14.Business Analysis ビジネス状況の評価方法や解析手法を習得
15.Meetings 会議の準備、進行、作法等を習得
16.Negotiations 交渉時に役立つテクニック・知識・戦略を習得
17.設計ケーススタディ 技術評価を英語で実践対話
18.英語によるロールプレー 技術課題に対しビジネス場面を想定してネゴ
■プレゼンテーション
19. 成果発表 習得した技術を実演

講座内容

 授業科目で1~11項目の内容は、航空機開発の業務現場に必須のマネージメントを教育するもので、昨今の航空機開発で課題数の多い分野から内容を選択しているので、現場で直ちに実践可能な内容になっています
 また、設計ケーススタディや英語によるロールプレーといった、ネゴシエーション演習を行い(17、18項目)、最終回では受講生がそれぞれの企業上司や教員の前で英語によるネゴシエーションを行い修学した能力を実演し(19 項目)評価を行います。 教育内容は国際的な航空機開発ビジネス環境下での高度なマネージメント力養成であり、受講に必要な学識・経験(一般教養・工学的知識・英語-英会話力)は、大学卒業資格者相当以上です。
 このように、講座内容は、受講者が、企業に帰社後、直ちに関係する航空機開発国際企業との交渉において、この教育で培った力を実践可能な内容となるよう工夫されています。 

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講座概要

■授業料
25.5万円
■受講対象者
大学卒業又は実務経験5年以上
 
TOEIC       550~800点程度
■募集定員
25名、 大学院生:5名(名古屋大学)2名(他校)
■開講時間
全15回(75時間)
■開講期間
令和3年5月15日~9月4日 毎週土曜日
 
(但し7月24日、8月14日を除く)
 
予備日:9月11日、9月18日
■場所
名古屋大学東山キャンパス ES総合館 講義室・会議室・講堂等
 
(名古屋市営地下鉄名城線「名古屋大学駅」3番出口)

実績

■日本工学教育協会賞受賞(平成24年8月22日航空機国際共同開発DBT人材育成)

■修了者数:
総計 298名(平成22年から令和2年まで)
 
受講生構成(航空機関連の重工業中核構成員、エンジニアリング会社員、航空機関連製造業者、
 
航空機関連企業従事者、大学院生、大学生等)

受講申し込み

■申し込み受付中です。 申し込み要領、申込書は下記リンクをご覧ください。
リンク先: https://www.nuae.nagoya-u.ac.jp/GPL/
■申込締め切り: 令和3年3月31日
         令和3年4月9日(大学院生)

お問い合わせ先

GPL事務局:〒464-8603名古屋市千種区不老町
名古屋大学大学院工学研究科航空宇宙工学専攻
        特任准教授 佐竹伸正
Tel:052-789-5432 Fax:052-789-3132
E-mail:    satake@nuae.nagoya-u.ac.jp

 

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パンフレットダウンロード

名古屋大学大学院工学研究科/航空機開発グローバルプロジェクトリーダー養成講座/ご案内資料

当講座のご案内資料は、こちらからダウンロードしてください。

令和3年度講座のお申込み

令和3年度講座の受講申込書等は、下記からダウンロードしてください。
   ・受講申込書
   ・記入説明書

受付期間:2/5~3/31(社会人)
     4/1~4/9 (大学院生)

リンク

  • 名古屋大学/NAGOYA UNIVERSITY
  • 名古屋大学/工学部・大学院工学研究科
  • Nagoya University Aerospace Engineering
  • 経済産業省/中部経済産業局/Chubu Bureau of Economy, Trade and Industry
  • あいち・なごやエアロスペースコンソーシアム
  • 愛知県産業振興課次世代産業室